管理不全空き家とは何ですか?
2023年3月に閣議決定された新しい概念です。今後増えていく空き家への対策ですので、今から知っておくことが大事です。
管理不全空家とは2023年3月に閣議決定された新しい概念です。今後増えていく空き家への対策ですので、今から知っておくことが大事です。
今後増えていくとされている空き家ですから、空き家にまつわる問題を事前に理解しておくとトラブル回避につながります。また、空き家であってもその家を維持し続けたい場合に役立ちます。
管理不全空き家とは?
このページにたどり着いた方は、空き家の問題が気になっているのでしょう。
特に
・自分の相続するはずの家が空き家になる可能性があり、心配
・相続する住宅が、管理不全空き家に指定されないための対策を打ちたい
・そもそも管理不全空き家とは何かわからない
という方ではないでしょうか。
今回はこの「管理不全空き家」について解説します。
今後「空き家が増える」ということは、ニュースで見聞きすることが増えています。
そんな中で、その空き住宅による問題が起きないようにするのが、国の狙いです。
空き家問題が気になる方は、少し時間をとって最後までご覧ください。
※この情報は、2023年3月時点のものです。
「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定
管理不全空き家とは、その名の通り「管理ができていない住宅・空き家」のことです。
国土交通省は、今後増えていく空き家問題を危惧しています。
国は、2023年3月3日に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。
この管理不全空き家について知るために、まず今回の閣議決定に至った背景を理解しましょう。
「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」の背景
今回、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定された背景には、次のようなものがあります。
・管理不全(いわゆる特定空き家の一歩手前)の家を減らしたい
・住宅が管理不全になる前に、有効活用の方法を模索したい
・周囲に悪影響を及ぼす前の住宅への対策を進めたい
どんどん進む少子高齢化からくる「空き家の増加」を考えると、この動きは当然なのかもしれません。
どんな家が「管理不全空き家」となるの?
次に気になるのは、「管理不全空き家とはどういったもの?」ということですね。
では、具体的に見ていきましょう。
1,家の傾きにつながりそうな兆候がある
壁に小さなヒビが入っている、なんとなく扉の開け閉めに違和感があるといった感覚はないでしょうか。
それらは家が傾き始めている兆候かもしれません。
それをそのまま放置しておくと、本格的に家が傾き始めてしまい、管理不全空き家となってしまう可能性もあります。
そして、その状態がひどくなればなるほど、特定空き家に指定される恐れが出てきます。
外壁の小さなヒビは単なる経年劣化かもしれませんので、専門家に見てもらいましょう。
扉の開け閉めが気になるなら、定期的に窓や扉を開け、こまめに換気をすることで問題を大きくせずに済むこともあります。
2,敷地の草木が伸び放題になっている
敷地内の草木が伸び放題となれば、枝葉がお隣の敷地に垂れ下がり、迷惑をかけてしまうことが考えられます。
また、竹や樹木の場合、根が巨大化して塀を浮かせたり、倒してしまったりすることがあります。
このような状態では、隣家の人も文句を言いたくなってしまうことでしょう。
空き家となった状態では、その状況を誰に伝えたらよいのかわからず、行政(市町村)に相談してしまうかもしれません。
このような問題を回避するためにも、定期的に庭の手入れをするために家に出向き、ついでにご近所の方にあいさつをしておくとよいでしょう。
管理不全空き家についての判断基準の例
東京都品川区では、区の条例(品川区空き家等の適正管理等に関する条例)で、どういった住宅が「空き家なのか」「管理不全状態なのか」を定義しています。
・建築物が使用されていない状態が続いていること(空き家)
・その空き家が「倒壊の恐れ」「周辺に大きな影響を与えること」
を複合的に勘案し決定する、としています。
「建築物等への人の出入りの有無」「電気・ガス・水道の使用状況」「年間を通して建築物などの使用実績がない」などにより空き家と判断するとあります。
客観的に「家を使っていない」と判断されれば、それはもう「空き家」といわれてしまいます。
そして、建物が傾斜している、構造上重要な部分に破損がある、外壁に落書きがあるなどのまま放置されている、不特定のものが容易に侵入しているといった危険な状況などをもって、「管理不全状態とみなす」と明示しています。
一例として覚えておくとよいでしょう。
「空き家が管理不全状態にあると認める」判断基準│東京都品川区」
国は管理不全空き家の利活用も進めたい
2023年3月に閣議決定された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」は、危険な状態になりそうな家を今すぐどうにかしようとするものではありません。
たとえば、行政(市町村)の手によって土地を更地にする行政代執行(費用は相続人に請求)といった大変なことです。
まだ価値のある家の場合、何かに役立たないかと思うことがあるでしょう。
そのようなとき、「空家等管理活用支援法人」に指定された法人に、「これからどうすればこの家を活かせるのか」といった相談ができる制度を整えようともしています。
この動きは試験的に進んでいて、以下のページに具体例が掲載されています。
行政の求めに応じない場合のデメリット
今回の「特別措置法」の閣議決定により、住む人のいない住宅が「単なる空き家」「管理不全空き家」「特定空き家」の3つに分けられることとなりました。
「特定空き家」での指定では、特に危険な家屋を、行政代執行というかたちで取り壊しする権限を行政に与えています。
では、「管理不全空き家」に対する行政の指導に応じない場合、家の持ち主にはどんなデメリットが生じるのでしょうか。
1,行政(市町村)から改善のための指導を受ける
行政は、管理不全空き家の持ち主に、地方裁判所を通じて空き家の状況を改善するよう指導します。
「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」には、次の記載があります。
市町村長は、管理不全空家又は特定空家等につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは、地方裁判所に対し(略)命令の請求をすることができる。
「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号)(抄)(本則関係)│国土交通省」
ある日突然、書類が届いてびっくりするということもないとはいえません。
2,過料に処される
もし、自治体の指導に従った不動産の管理をしなかった場合(命令に違反した場合)、50万円以下の過料に処される可能性があります。
また、事前の立ち入り調査を拒否したり、妨害したり、応じなかったりした場合も、20万円以下の過料に処されることもあります。
「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号)(抄)(本則関係)│国土交通省」
3,固定資産税減額を解除される可能性
これまで、倒壊の危険の高い「特定空き家」に指定されたときに、固定資産税の減額が解除されていました。
今回の閣議決定により、特定空き家の手前にある「管理不全空き家」であっても、固定資産税の減額が解除されることが示唆されています。
千葉県内の空き家を管理不全空き家としないために
相続などで家を手にしても、ご自分が住まない場合、適切に管理しなければならないことがわかりました。
空き家は社会問題のひとつです。
いつ倒壊するかわからないような、朽ち果てた家にする訳にはいきません。
まだまだ活かせる不動産ならば、活用する手立ても検討しなければなりません。
あなたが千葉県内で空き家を相続したなら、まずは敷地内を常にきれいに保つ努力をしてください。
庭の草木の手入れはもちろんのこと、定期的に窓を開けて建物の傷みを最小限にとどめましょう。
そして、近隣の方にもあいさつをし、家のことで迷惑をかけていないか聞いておくことも大切です。
ただ、あなたが今遠方に住んでいて、「なかなか通えない」と感じておられるなら、どうぞ弊社にご相談ください。
また、相続に伴って家を売却したいときも、お知らせください。
家を維持するにしても、手放すにしても、千葉県内(現地)の私たちなら、最適なご提案ができます。
家の管理で培ったノウハウで、その家の状態を加味したお話をいたします。